株式会社デューン



 
1.テストドライバーとしてのバックボーン
弊社代表取締役を勤める私、山本義弘が競技を始めたのは1978年頃で無制限改造クラス、現在のXPクラス。当時はJORRA(4戦)、JOSF(4戦)、JEEPジャンボリー羽鳥、ダートラ等、年間13〜14戦あった。
1979年は、12戦8勝、2位2回、3位2回で文句無しのシリーズチャンピオンとなり、以後、1981年まで3年連続シリーズチャンピオンを続け、チャンピオンのまま引退した。1980年より三菱自工のバックアップを受け、ブリヂストンタイヤ、カヤバ、日本電装、三菱製鋼、雪印、スノコ、日本ジープセンターと全て本社契約でサポートを受ける。
三菱自工は、市販車のノウハウはあるが、オフロードレースカーに関しては全く分からないため、エンジンから足廻り、シャーシーに至るまで全部自分で作らねばならなかった。パワーアップに伴い、部品の強化や見直し、1つ1つ組み込んでテストを繰り返す。足廻りも自分で計算し、シャーシーを改造してストロークを増やし、最も良い性能になるまでスプリングをセッティングし続けた。コクピットからポディーに至るまで自分にフィットするように完全に調整し、無敵のチャンピオンカーに作り上げた。
この時感じたのは、レースで本当に速くてリタイヤしないマシンは、免許取り立ての女の子であっても気楽にドライブできる車であるということであり、1カ所でもウィークポイントがあってならない、ウェルバランスの車ということである。
この時期の車作りの経験は現在の仕事に大いに役立っている。これは、まさに「完全体」ということにほかならないが、いざ作るとなるとなかなか難しい。

2.操縦性と乗り心地と安全性及びオフロード性能について
乗り心地の良い車=柔らかい、と一般的には考えられている。戦後の凸凹だらけの道路では当然であったこの考えも、ダートを探すのにも一苦労する現在では少々的を外していると思われる。
良い乗り心地とは入力のショックが柔らかく、ロールとピッチングが少なく、また、揺り返しが来ないものが最も良いと思われる。なぜなら、これが最も疲れないからだ。パッセンジャーはただ、シートにもたれているだけで目的地に着く。
この乗り心地の良さを追求して行くと、それに比例して操縦性も向上。操縦性、乗り心地に良い条件が整えば当然のこととして荷重移動が少なくなる。フルブレーキをかけた時の荷重移動が少なくなると、それまで遊んでいたリアタイヤも制動に大きく貢献できるようになり、ブレーキシステムがこれまでと同じものでも結果的に制動距離は小さくなる。これは、安全性が向上したこととなり、また、操縦性が良いということは、ハンドルでも危険回避できることにつながり、さらに安全性は高まる。乗用車ならこれで終わりだが、CCVの場合には、さらに高いオフロード性能を要求される。ロードを良くすればオフがダメになる相対関係をもっているのでやっかいだ。ロードと高速ダートは、ある面、同一線上にあるのだが、基本的には同一ではなく、オフは全く別物である。片方を良くするかわり、他方をノーマルより悪くしたのでは何にもならない。
オフではまず、車高を高くして対地距離を離し、バネを強くして、荷重移動を抑え、縮む側バネ1本当たりの荷重を増やしてストロークさせる。ロードと高速ダートの関係は、ロードを良くすればダートの接地性が悪くなり、ダートを良くすればロードのロールが大きくなる。これにはずいぶん悩んだが、大量の試作を組み合わせ、テストすることに解決の糸口を求めた。前後左右のバネのバランスをとってやることで、双方を両立させる組み合わせが何組かできたが、最終的には限界特性が良く、また乗る人の感性にあう物を選んだ。
この最終決定値は車のシャーシーと重量が変わらない限り、これより良い物はないことを確認した後の決定であり、足まわりに要求されるいかなる性能も、純正、または、他メーカーよりも、はるかに優れたものである。なぜなら、メーカーも含めて他社はリアシートにまで乗り心地をチェックさせる程の徹底的で正確なテストを絶対にしないし、厳しい基準持っていないからである。
3.有機的自動車
現在のCCVは、ほとんどドライバーと一体感の少ない鈍感な車であり、誰もが本当は理想とする“気持ち良く思い通りに走れる自動車”とは無縁のものである。
納車された日に感じた失望はいつか“こんなもんだ”というあきらめに変わって行く。車が好きな人にとっては不幸なことである。こうして、次の車に目が行くようになり、また無駄で多額な出費を繰り返すのである。
ジオラマの原点はその失望感の打破にあり、“楽しく気持ち良く走れるようにしたい”と考えたのが出発点であった。ジオラマを装着すると不思議なフィット感がある。街の中をゆっくり走っているとすごく乗り心地が良く、穏やかで、とても峠道をハードに攻められる車とは思えないのだが、いざ峠へ行くと、いくらハードに攻めてもへこたれない。そのくせ、ハードなダートを高速で飛ばすと凸凹がほとんど入力されない。まるでTVゲームのような感覚である。ノーマルが腹をつかえるモーグルも、ゆっくりクローリングで通過する。どのシチュエーションでも高い満足を得られるのである。そうすると、納車の日に感じたいやな印象は消えてしまい、いつまでも付き合って行きたいという車に対する愛情が湧いてくる。毎日その車に乗ることが楽しく、ずっと気持ち良く安全に使って行けるのは現在のエコロジー論にも沿ったものである。

4.ポリシー=完全体
当社のポリシーは不完全であってはいけないということである。
常に何が最良かを探り研究開発を続けて来た。その中には、バネに関する世界特許1件、その周辺に関する国内特許1件と、特殊シャックル1件。これまで、基礎、基本技術学術を積み上げてきている。(1993年1月5日 U.S.A.No.5176370トーションバースプリング&カバー)これは非常に地味で忍耐と苦痛を伴う仕事であった。理論的に成立したものを、今度は人が使って心地良い実物を試作で作り出すのは、理論を確立する何十倍もの知恵と労力とお金を必要とする。何十もの試作を作り、それを完全に評価できる計測マシンのようなテストドライバーがテストする。この作業なくして良い商品は作れない。完全であるからには法的にも合法でなければならない。個別の構造変更では、非合法で使う人も出てくるし、個人の負担が大きくなる。
そこで、近幾で運輸局公認を取ったのであるが、少し遅れて同時期、他局で非現実的な足まわりが公認されたのが問題となり局公認が不可能となってしまう。そこで、私と当社の横田の2人で運輸局改造課の担当者に改善を申し入れたところ、当社の姿勢と、内容を審査した結果、準自動車メーカー扱いとなり、局公認の門戸が開かれた。
現在、全国で局審査を受け付けてもらえるのは当社1社のみである。部品メーカーとして、妥協や甘えがあってはならない。いかなる業者やユーザーに対しても、メーカーとしてできる限りのことは全て実行に移す。このように、自己完結することこそが当社のポリシーである。

5. 永久保証

当社はシャックルを発売した当時から永久保証を実施してきた。メーカーとして永久保証する義務などどこにもない。ではなぜ、保証するかと言えば、壊れないからである。これに伴い業界では初めて、構造変更用の強度計算書を発行する。ジオラマサスペンションはこの発展形である。当社の下請けはみな、カーメーカーの仕事を専門にやっている優秀な会社ばかりである。下請けの技術レベルをギリギリまで引き出す図面をこちらで引き、発注する。金型の製作段階から製品の製造段階、納品時、と何度も厳格に検査を繰り返し、合格品のみを大切にお客様に出荷する。だから永久に保証できるのだ。
ただ、スプリングに関しては、時々ユーザーから車高が下がったとのクレームが発生する。その都度、バネを試験機にかけて検査をしたが、全て製造誤差範囲内でへタリは見られなかった。当社のバネは全て、三菱製鋼のカーメーカーラインで作られ、全数荷重試験を受け、合格品のみを出荷している。設定荷重500kg、設定高250mmのバネは、出荷時に500kgの荷重をかけて250mmの高さであることを確認されて出荷される。何年か使用されて、もしヘタッたのであれば、500kgの荷重をかけた時、250mmの高さは出ない。今まで当社がユーザーから依頼された試験では全て、設定高が出ている。バネにヘタリが無いのに車高が下がるのは、だいたい4つ原因がある。

(1) ショックアブソーバーのヘタリ
純正、社外品を問わず、ほとんどがガスショックであるが、ガス内圧が車体を押し上げる働きをしている。これがヘタると簡単に2cmは車高が下がる。
(2) シャーシーの変形
L/C80に特に多く見られるが、スプリグシートアッパータワーが内側に曲がり込む。これも、2〜3cmは車高が下がる。(激しくオフを走る人に多い。)
(3) サスペンションリンク内蔵ブッシュのヘタリ
全てのリンク(アッパーアーム、ロアアーム合む)には、ゴムブッシュが入っており、各々がヘタる。
(4) ボディーの変形
シャーシーのボディがたれ下がるように変形する。

以上が、当社の商品開発においての根幹をなす社是です。そこには一切の甘えも妥協も存在しません。必要とあればどんな困難なことにも正面から取り組み、これらを打ち破り、そして、さらに素晴らしい商品へと昇華させてきました。その思想はこれからも変わることはありません。
業界では驚異的な20万人を超えるDuneユーザーの方々に対して深く感謝するともに、これまで以上の努力と工夫を続けてまいります。

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